君も職場や学校で麻枝ギャグを披露しよう! 実例を交えつつ、無粋かつナンセンスな解説を。
仕事を終え、帰宅する。 智代はまだ来ていないようだ。窓の向こうの流しに立つ姿はない。 鍵を挿して回す。 抵抗がない。すでに開錠されているのだ。 中に入って靴を脱ぐ。 【朋也】「鷹文かー?」 呼びかけて部屋に上がる。 横になって寝ていた。 …見知らぬ女の子が。 【朋也】「………」 俺はしばらく立ちつくす。 顎に手をやる。 ここの合い鍵を持っているのは鷹文と智代だけ。 あいつらに妹がいたのか…? そんな話は聞いていない。 智代が連れてきた…? どんな理由で? …思い浮かばない。 すると、鷹文か。 どんな理由で? (回想) 【朋也】「おまえ、あんま女に興味ないのな」 【鷹文】「え?」 【鷹文】「あるよ、ちゃんと」 (回想) うわあああぁぁぁぁーーーーっ! そういうことだったのか! 【朋也】「ということは…」 【朋也】「鷹文がさらってきた…」 それは大変なことだ。 犯罪だぞ、鷹文…。 <中略> さて、女の子をどうしたものか。智代にばれないうちに、押入にでも隠すか…。 俺はそっと女の子をバスタオルにくるんで、持ち上げる。 【智代】「なんだ、その子は」 ぐあ…。 すぐ背後で智代の声。 振り返ると目が合う。 【智代】「どうしてそんな小さな女の子がここにいる」 【朋也】「いや、これは、鷹文が…」 【智代】「鷹文? 鷹文がどうした」 【朋也】「えっと…」 いや、俺だけでもあいつを庇ってやらないとな。 俺はいつでも助けてやるって、あの日に誓ったんだから。 【朋也】「いや、鷹文じゃなくて…俺が…」 【智代】「おまえが…?」 【朋也】「さらってきた」 【智代】「………」 【智代】「お、おまえはっ! それは犯罪じゃないかっ」 【智代】「なんてことをしたんだ…まずはなんだ…そうだ、警察っ」 【朋也】「いや、冗談…」 慌てて電話に駆け寄る智代を制止するにはそう続けるしかなかった。 【智代】「はぁ…」 智代はまた重たいため息をつく。 【智代】「おまえの冗談は昔から笑えない。よしてくれ…」 【朋也】「ああ…」 【智代】「で、なんなんだ、その子は?」 【朋也】「俺の子」 【智代】「………」 <中略> その場でしゃがみ込んで、エプロンで顔を覆ってしまう。 【智代】「うわあああぁーーーーんっ」 うわぁ…本気で泣かせてしまった…。 正直に話すしかないようだ。 【朋也】「智代…その、ごめん…」 【朋也】「正直に話すよ…」 【朋也】「実は…こいつ…」 【朋也】「鷹文がさらってきたんだ…」 【朋也】「でも怒らないでやってほしいんだ…」 【朋也】「あいつ戻ってきたら、俺が叱るから…」 【朋也】「それで、親御さんに返しにいくから…」 【朋也】「な、智代…」 ――智代アフター
ああ、もしかしたら、鈴はずっと待っているのかもしれない。 僕から、この緊張を解く日常会話が始まるのを。 そうに違いない。なのに僕ときたら…ああ…。 はい、もう、こんなですから。高速ビートですから。 もう何を言っても、第一声で声がひっくり返る自信がある…。 そりゃもう、絵に描いたようにひっくり返るだろう…。 そうして、僕の緊張も鈴にばれて、場が余計に気まずくなる…。 ああ、そうだ、最初の一声は、とにかく低く喋ればいいんだ。 緊張した声のひっくり返り現象が起きれば、なんとそれはいつもの僕の声になる。 よし…緊張してると悟られないように…低く、とにかく低く第一声を…言うぞ…。 【理樹】「ボドドドゥドオー」 ――リトルバスターズ! 鈴シナリオ
引用Nageeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!! これはさすがに怒られるかもしれない。 ともかく。 引用したギャグ、それぞれの構造など分析してみたい。ちなみにこれらは、自分が「麻枝さんのギャグ」と言われてパッと思いついたものです。今見ても爆笑です。
まず、沙耶シナリオ見ても分かるとおり、キャラの頭のネジがぶっ飛ぶのがひとつ特徴と言えよう。 で、「その辺の呼吸はセンス」と言いきってしまえばそれまでなんだけど、言い切っちゃうとここまで引用した苦労が水の泡なんで、そこになんとかしてパターンを見出したいと思う。
ひとつ目。 大まかに言って、 理論的に話が進む → 読者が予想しない答えが出る。 というパターン。まともな思考の次、クリックして文章を送るととんでもなくアホなことになって面白い。
智代が可哀想だから正直に話そう。 → 鷹文が攫ってきた 低い声で話せばひっくり返って正常に! → ボドドドゥドオー この床の凹みを均等にする形は何だろう? → ローソン 上から順に威力が強い(主観)。 智代のは、もうひとつの麻枝さんギャグの特徴である「天丼」との複合形。
【智代】「さて、動いてみせてくれ。まず朋也」 パンダ、パンダと。 俺はその場をうろうろ歩いてみせた後、智代を振り返る。 結構真剣に似せたつもりなんだが、智代の顔は不満げだ。 鳴いてみよう。 【朋也】「ケェーーーーーッ!」
二つ目。 天丼。 同じギャグを繰り返す古典的な手法。と言いつつ正確には天丼とは違うかもしれないと思った。 ローソン ファミマ と来て、スパイに捕まったときにセブンイレブン。別のコンビニの名前を言って時間を稼ぐか? と言ったように、またかよ! と思わず突っ込んでしまう。春原がラグビー部に折檻される類。あと、風子マスターになるための「誰かと入れ替わる」。
三つ目。 アホの子。
【春原】「だから声が大きいってのっ…」 大方、ラグビー部に対して居留守を使っているのだろう。 【朋也】「そんなの無視して、大騒ぎしようぜ。朝までフィーバーだっ」 【春原】「やめてくれっ」 【朋也】「ほら、いつものように、画びょうを踏んで大絶叫ゲームしようぜ」 【春原】「したことねぇよっ!」 【朋也】「よっし、ジャンケンで負けた春原が、画びょう踏むのな」 【春原】「負けた春原って…負けた岡崎はっ!?」 【朋也】「よーし、いくぞっ」 【春原】「えっ?」 【朋也】「ジャンケンポンッ!」 【春原】「よっし、勝った!」 【朋也】「くそぅ」 【朋也】「もういっちょ、ジャンケンポンッ!」 【春原】「よっしゃ、二連勝!」 【朋也】「早く負けて踏め、ジャンケンポンッ!」 【春原】「どうだ、三連勝!」 【春原】「って、僕が踏むまでジャンケンを続けるだけのゲームなんすかねぇ!」 ――CLANNAD
分析の仕様がない。 イヤッホーウ! 国崎サイコー! の類。 げげごぼおうぇっ うんこぶりぶりー! 馬鹿理樹。 スイッチ……オン! とか。【春原】「ええと、縦の1…元日から三日までをなんと呼ぶか…」 【春原】「ははは、馬鹿かっての」 【春原】「三連休…と」
さて、こんなとこでどうでしょう。 この中で真似できそうで、効果的なのは一つ目のパターンだと思う。ビジュアルノベルだから成功してる面はあると思うけど。 つまるところ、「大方予想される軌道から大いに外す」ってこと。 たとえば、八回裏、セットアッパーが捕まって1点差。なお1死1、3塁。ここで監督がストッパー投入を決断。 こんな路線があったとして、いろいろ結末は思い浮かぶ。でも麻枝さんは、出てきたストッパーがいきなり脱ぎだすような展開にしちゃうう。この例えは面白くないけど。
で、ここで肝要なのが、実はその展開が「想像できる範囲」にあること。言ってること矛盾しそうだけど。突然脱ぎだすんじゃなくて、きちんと伏線がある。キャラクターとかね。 「ケェーーーーーー」にしたって、CLANNADで一度朋也はやってるから、予想は出来ないけれど想像はできる。「ボドドドゥドオー」は、その直前に理樹がテンパってるのがわかってるから、「まあ成功しないだろうな」と心の準備は出来てる。その上で読者の予想から外してる。
……結局職人芸だよなあ。
|